Nの世界

【 ニュートロン 】

●はじめに

1984年05月頃にエニックスから発売されました。
以前、購入したドアドアをかなり遊び込んでいたので、同作者さんが発表する新作と
いう事で無理(当時FDは10枚で3000円位)をしてディスク版を購入した記憶があります。
ちなみに、このゲームが、最初に買ったディスク版ゲームでした。
当時としては、画期的ともいうべき、2面毎に変わるBEEP音によるBGMと美しい画面。
ドアドアと違い、パターンプレイが通用しないゲーム性と、熱い得点稼ぎ。
玉の投げ方次第で、魅せるプレイも可能でした。
88のアクションゲームとしては、最も長い期間、最も遊び込んだゲームです。
非常に面白いゲームですが、テンキー[1][3][7][9]を使って斜めの枝に移動するのが難しいのと、
玉の扱いにクセがあるため、難易度がかなり高めな為、余り理解されず、ドアドアほど
メジャーにはなりませんでした。(これは、コンシューマ機に移植されなかったのも一因。)
比較的売れたゲームなので、オークション上に出てくる確率はそこそこあると思います。
やや高めの値段が付く可能性はありますが、比較的入手しやすいと思います。
表 裏

●イメージストーリー

マニュアルからの転載です・・・。
 むかし昔、動物やくだものがまだ口をきいていたころ、ひと目見れば誰でも
思わずほほえんでしまう様なかわいいかわいい女の子がいました。
 この女の子はフルーツ王国のお姫様で人々から大変慕われていました。今回
の主人公ロンくんもその1人でありました。
 ロンくんは、王国のニュートン村という小さな村のお百姓さんでした。おじ
いさんと2人でりんごやみかんを収穫し生活していました。まだロンくんは少
年だったので、おじいさんがくだものを取り、ロンくんは下でかごをかついで
受け取る役目でした。
 彼は毎日、かごをかついでフルーツを受け取るのにあきて「早く僕も一人前
になり上でフルーツを取り、僕の取ったフルーツをお姫様に食べさせたいなあ
……。」と思っていました。
 しかしおじいさんは「まだまだ修行が足りんのう。」と言ってロンくんを木の
上で働かすつもりはないようでした。おじいさんは、きっちり彼をしこんで、
ニュートン村、いやフルーツ王国一のお百性さんにし、自分の跡を継いでもら
うのが夢でした。
 夏のある日、ロンくんとおじいさんはささいな事で口げんかをしてしまいま
した。ロンくんは泣きながらかごを背負ったまま果樹園から飛び出し村のはず
れにあるニュートンの木の下へ行ってしまいました。
 ニュートンの木は村一番の大きな木で、村の名もこの木からついたくらい古
い古い木なのです。しかし、今では昔の面影もなく一個のフルーツもみのらな
い「うどの大木」となっていたのです。
 ロンくんはニュートンの木の下にすわり込み、目を泣きはらしながらウトウ
トと眠ってしまいました。そして深い深い眠りに落ちながら不思議な夢を見た
のです。
 夢の中で目がさめると、彼の回りにはいろいろな虫たちがロンくんを指さし
ながら何かザワザワと話し合っていました。虫たちの外には白いあごひげをは
やし、白い布をまとった老人が静かに座っているのが彼にはなぜかはっきりと
見えました。
 虫たちの1ぴきが「おじいさんの気持ちもしらないで、お前は不幸者だ!」
と言い、又別の1ぴきは「神様、こいつをどうしますかね?いっそのこと木の
中に閉じ込めて木の養分にでもしちゃいましょうかね……。」などと言うのです。
 背中に冷汗が流れたのをロンくんが感じた時、あごひげの神様がやおら立ち
上がって言いました。「まあまあ皆の者、騒ぐでない。こやつも良く見ればなか
なかいいやつじゃ。そこでのう、物は相談じゃがこやつがどれだけ多く、そし
てどれだけ注意深くフルーツ採りが出来るか試してはどうかのう?」
 神様はおじいさんの気持ちを察してこういったのです。虫たちは、少しため
らいながらも「ただやるのではつまらない。僕たちが少し邪魔をしてもいいで
しょうか?」。神様はうなずいて「そうじゃのう。では、ついでに毒のフルーツ
も入れてやろう。そしてそれにパスすれば、こやつを村一番の百性にしてお姫
様との仲をとりもってやってはどうかのう!?」
 虫たちは全員うなずきながらどこかへ散っていきました。神様だけがロンく
んの前に残り、彼に向って「ロンよ。これが最後で最大のチャンスだ。うまく
活かせよ。」と言い、山の向こうへ消えていきました。
 それから、どのくらい時間がたったでしょうか?とにかく相当の間、ロンく
んが眠っていたことはたしかです。その眠りから覚めると、彼はニュートンの
木にあるほこらに横たわっていたのです。ロンくんは背のびをしようとして体
を動かしました。妙な感じがして暗がりの中で自分の体をさわってみると「あ
っ」とびっくり、ロンくんは神様によって竹かごにされてしまったのです。
 気持ちをとり直して体をほこらの外へ出すと夢で見た虫たちがニュートンの
木の枝にいるではありませんか。ロンくんは「あの夢の中の出来事は本当だっ
たんだ!それじゃ、フルーツをたくさん集めればお姫様といっしょになれるん
だなあ……。」と思いました。
 さて、ロンくんは神様の言葉どうりお姫様といっしょになることができるで
しょうか……。
 乞うご期待!
お姫様?
↑実はお姫様なのかな?(ディスク版ローディング画面)

●作者:中村光一さん

昭和39年香川県生まれ。ニュートロン発表時は、東京都在住で大学1年生でした。
高校時代に、エニックスが主催した「第1回ゲームホビープログラムコンテスト」でPC88の
初期の名作「ドアドア」を応募して優秀プログラム賞を受賞しました。
しかし、それ以前に、I/O誌で、「ALIEN PART2」、「RIVER RESCUE」、「SCRAMBLE」という
当時のアーケードゲームの名作をPC-8001上に移植して発表していました。
(古いマイコン使いの方には、有名な話ですが・・・。)
その後、マイコンから離れて、誰もが知っている「ドラゴンクエスト」シリーズのプログラマとして、
立上げに携わりました。
そして、チュンソフトを設立し、「かまいたちの夜」や「弟切草」や「トルネコの大冒険」等の名作を
世の中に今日も発信しています。
最後に、ニュートロンへの一言を紹介します。
(実は説明書とパッケージの裏では微妙に内容が違います。)
「12ヶ月という長い歳月をかけ、練りに練った斬新なアイデアを盛り込み、私が得意とする
ファンタスティック思考型反射ゲームで大ヒットを狙いました。よろしく!!」
タイトル(作者紹介)


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