休職日記

【 9年という歳月 】

会社を退社して既にかなり月日は経過した。
そして今、約9年振りに故郷で再び生活するため、再び故郷の大地を踏みしめた。
以前の休職時に戻ってきた時とは感覚が違う。自分で決断した事だ。
全ての責任を負うことを覚悟が出来ている。
だからといって、新居での生活は直ぐには始められない。
長距離の引越しだから、荷物は数日届かない。新居にいっても、蒲団もさえ無い。まだ冬寒い。
凍え死ぬ訳にはいかないので、実家に荷物が届くまで転がり込むにした。

荷物が届くまでの数日間、特にやらなければいけないという事がある訳ではない。
本来なら、友人に連絡して挨拶を兼ねて、飲むなり遊びべきだと思った。
しかし、今は無職の身。こっちに戻って来て、色々と連絡すると、最悪、1週間の内、
5日位遊ぶ日々が始まってしまう。(休日、平日休みの人が混在している->友人)
それは、いずれ生活費も尽きて、路上生活デビューする事を意味する。(死)
だから、職が決まって、自分の精神も生活が安定するまでは、連絡しないと心に決めた。
会うのは、基本的に彼女だけ。他の日は、趣味か勉強に没頭すると決めていた。
就職活動は、生活に慣れ、暖かくなる4月からと以前から心に決めている。
3月までは、9年振りの札幌の生活に慣れることが目標とした。
休職に追い込んだ鬱が生活環境が大きく変わった事で再発する恐れもある。
焦って就職してすぐ、鬱に掛かってしまって全てが水泡に帰してしまう。
それに就職すると、恐らく彼女と働く時間帯が大きく異なるので、会う機会が
激減するのは分かっている。
自由が利く内に、少しでも会う機会を増やしたい。長い月日が離れていたのだから・・・。

結局、実家に転がっている間にやった事は、住民票等の各種手続きである。
ただし、直接区役所まで手続きを行う必要があったので、かなり面倒だった。
待ち時間は長いし、就職時は関係がない国民年金や国民保険の手続きもある。
しかも、職安にも受給資格の変更手続きがある。
後、銀行等の金融機関にも住所変更を届けないと行けない。
更に確定申告を行うのも忘れていた。
少しでもお金が戻ってくるなら、面倒でも行わないといけない。
2日間、この作業をやっただけで、精神的にぐったりした。
大きい所では、生保の住所変更手続きだけ残して、とりあいず完了した。
こうして、実家での待機期間は終わった。
PS2を衝動買い(バカ)してしまった余計な精神的な疲れを残したまま・・・。(おぃ

そして、迎えた新居への引越し日。
搬入作業は思ったよりあっけなく終わった。
新居は、無職のくせに部屋の広さは前の部屋の約2倍。(爆)
しかし、その割には、思ったより空きスペースが少なかった。
去年の引越し時にかなり無駄な家財道具を捨てたが、それ以降に増えたオークションでの戦利品?が
思ったより部屋のスペースを占有していたからである。
部屋の下見時に収納スペースが小さめだと分かってた事が、それにしても・・・。
荷物の整理を始めるが、思わぬオチがあった・・・。
引越しの際に収納道具を捨てた事(買替えを決めていた)。
このおかげで部屋の整理が大幅に遅れることになった。
畳(和室)の生活に慣れていたおかげで、絨毯(洋室)が必要になった事に気がつかなかった事。
実家で冷静に考えた時に気がついてしまった。(遅

最初に着手したのは、部屋の絨毯の購入である。
そもそも前に住んでいた部屋は和室で絨毯は不要だった。
部屋の広さは、7.1畳と4.5畳という片一方は中途半端なサイスであったし、部屋の角が
出っ張っていることを考慮すると、1サイズ小さいサイズを選んだ方が、将来的にも潰しが利くと思った。
問題は、地元に戻ってきたのに、全く土地勘のない場所を選んだ事だった。
当然、どこでその手の物が売っているか分からなかった。
結局、地図(しかもグルメマップ)を見て、地下鉄で確実に移動出来る西友で、適当に見繕って購入。
結構、痛い出費だった。
その後、山のような荷物を避けつつ、絨毯を引いただけで疲れて作業終了。ダンボール山に囲まれて睡眠。
前回の引越しは、4〜5時間で作業が終了したのだが・・・。作業難航の予感がこの時点で確信に変わった。

2日目からは、収納道具がないのが、災いし始める。ダンボールを開封しても、置き場所がないのである。
収納道具を買うため、近くのホームセンターへの行き方を調べる。マップル(ライト)を購入。
ちょっと離れたホーマックには、バス1本で行けそうな事が判明する。
少し離れた所には、ダイエーもある。歩いて行けそうである。
後、近所のフードセンターと合わせれば、必要なものは調達出来ると思った。
もう1つの問題は、電化製品系である。
座椅子タイプのパソコンラックとガスコンロ(規格が違う為)を買う必要があった。
ガスコンロは1年前に買ったばかりだから買い替えはしたくなかったが、ガス会社に聞いたら、
調整してもらうより買い換えた方が安い事が判明したので、わざわざ、持ち込んだガスコンロを
粗大ゴミに出して事に新たに購入することにした。(涙)
(その後、近所のリサイクルショップに持ち込もうとしたが、ガスの規格が合わない事で却下された。)
しかし、近所にあったコジマをチェックしたが、品揃えがイマイチだった。
これに関しては、駅前に出る事に決めた。
ヨドバシ、ビック、ベストの3つの内の1つから購入すれば良いと思った。
ガスコンロ、パソコンラック、本棚、ステンレス棚、敷布団、衣服、手袋(寒い)、
運動器具(衝動買い(汗))、テーブル、座椅子(リサイクルショップで安価入手)等を3日間に渡って購入。
しかも、荷物が予想以上に重たかったため、帰りにタクシーを3度も使い余計な出費をする。
(といっても、運送依頼をすると、時間もお金も同じ位掛かる・・・。)
予想以上に部屋の整理に苦労した。結局、4日間も掛かった。
そして、いらないダンボールと資材を引越屋に運んでもらって作業完了。時間を余計に浪費してしまった。

荷物を整理している間に、思わず事態に気が付いた。
1つ目は、ガス料金の高さである。
都市ガスで暫く生活していたせいで、エアコンの電気代の方に目が向いていた。
ガス屋から貰ったプロパンガスの値段表を見て、目が点になった。
手元に、先月の東京ガスの料金請求書があった。
先月12立法メートル使用していた。2000円ちょいの請求だった。
しかし、同じ量だけプロパンガスを使用したら、8000円強支払う必要がある事が判明した。
せいぜい、都市ガスの2.5倍位だろうとタカを括っていたが、甘かった。
考えてみれば、プロパンガスは、事業者が任意に料金を決める。
ぼったくりの料金を設定しても、問題はないのだ・・・。
後から分かった事だが、こっちの賃貸住宅では、プロパンガスが結構多い。
プロパンガスの方が、建設費用が安いため、プロパンガスを使用する事が多いのだ。
初日、ガスストーブをずっとつけっぱなしだったが、2日目から急遽中止した。
暖房をエアコンに切替えようと思ったが、思わぬオチがあった。「冷房」専用だった。
流石に、部屋をチェックした時、そこまで気が付かなかった。
暖房が付いていて当たり前だという先入観が身に付いていたからである。
弟に電話する。弟の部屋はプロパンだからだ。
ガス料金を聞くと、夏6000円。冬10000円が相場だという。朝夕働いていて、この値段である。
しかも、毎日湯沸し器で風呂を沸かすと、とんでもない値段になるから、現在シャワーしか
使っていないという。
無神経に風呂を沸かし、シャワーを流しぱなしで体を洗い、部屋でガンガン暖房を焚くと、
月3万円以上は当たり前という。
正直、背筋が凍った。早めに気がついて良かった。ガス料金の節制が始まった。
まだ、3月上旬部屋は寒い。昼間の暖房を付けない事を決行する。
夜も極限まで、ガス暖房を使う事を我慢するようにした。
部屋の中なのに、外に出るような格好で寒さを凌ぐ、買ってきた運動器具で運動して体を温める。
毎日、ガスメータをチェックして、記録を付ける事にした。
(これは、後々ガス会社の請求ミスを追及するのに役に立った。)
風呂を一度実験で沸かして見る。なんと1回沸かすだけで、約225円掛かる事が判明する。
これに、シャワーとかのお湯を加えたら、銭湯でのんびりくつろいだ方が安いのではないか・・・。
弟のシャワー作戦は、採用させてもらう事にした。

2つ目は、ADSLが途中光回線のため、引くことが出来ないという事である。
はっきり言って、これはかなり痛い。
格安ADSLが使えなければ、一気に月々のインターネット代が跳ね上がるからだ。
Bフレッツにすれば、プロバイダ料金と合わせて8000円以上掛かる上に、10Mbpsが最高。
ケーブルテレビは、サービス対象外のエリア。
残った選択肢は、アナログ回線+テレホーダイか時代遅れのISDNしかなかった。
これは、回線速度が、ADSLでほぼMAX出ていた環境から56〜64Kbpsに転落する事を意味する。
結局、常時接続は、どうしても譲れない条件だったので、フレッツISDNに妥協した。
電話基本料金が、約1000円上がり、プロバイダも節約したとはいえ、714円。
それにフレッツISDN基本料金。(情けない事にマイラインプラスも申込む)
月々5000円位の出費に跳ねあがってしまった。無職の身に2000円月々の負担アップは痛い。
とはいえ、TAの方をぽるさんのご好意により、拝借出来る事になり、TA代(14〜16K円)が浮いたので、
前向きに解釈しなければいけないと思った。

3つ目は、本屋が遠い事である。
近所のフードセンターの本屋では、自分の全ての購読雑誌が売っていない事が判明した。
特に、ゲーム誌唯一の愛読書「ドリマガ」の購入に思いもよらぬ苦労をする事になった。
街中に遊びに行く時に、ついでに買う生活が強いられた。
ただ、雪が解けてからは、自転車で行ける範囲に本屋があるので、そこで買う事で改善されたが、
また、冬が来たら同じ現象に陥る。今から来冬の事を考えておかないといけない。
そして、四苦八苦しながらも、約半月でなんとか平穏な日常を取り戻した。
こうして、十数年振りの黄砂が降ってくるなど数々の歓迎?を乗り越えて、
9年振りの故郷での生活が始まった。

3月は、彼女の誕生日の月だ。何気に誕生日プレゼントを催促される。
考えてみれば、その日に札幌に居た事はない。仕事をしていた。
しかも、何処かの現地で最後の現地テストの真っ最中。
1日抜け出して札幌に帰る事は許される状況にあった事はない。
唯一札幌にいた休職時も帰省初日でそれどころではなかった。
良く考えなくても、当たり前の事なのに、「そっか・・・。」と思う。
長い月日が、自分の感覚を麻痺させている事を悟る。
無職で金銭的に苦しいので、正直言って立派な事は出来ない。
電話帳で近所のケーキ屋を調べ、一番人の入りが良さげな店を調べ、その店のケーキを試食。
そして、バースディケーキを買っても食べ切れないから、単品のケーキとちょっとしたプレゼントで
簡単に誕生日を祝う。悔しいがそれが、今の自分に出来る限界だった。
当たり前の事が当たり前に出来ない。親元で暮らしていれば、衣食住には困らないから、
自分が思った事が出来ていたと思う。どうしても先に自分の生活が優先してしまう・・・。
「早く就職しなければ・・・。」気持ちは焦るが、慌てて決めたら外れを引いた時に必要以上に
後悔することになる。心の中での葛藤は激しさを増した・・・。

ロードオブザリングを見たり、東京から同じく引越し来た友人と会うなどしている内に、
月日はあっという間に流れた。気が付けば、3月下旬である。
たまたま、彼女が3連休取れたので、話合いの結果?近場の定山渓に1泊2日で温泉行く事にした。
当然、登別や洞爺等他にも1泊2日で行ける個所はあるが、自分が行った事が無いという理由だけで、
定山渓に決めてしまった。
目的が、温泉と美味い飯だったので、水着で男女共同でいれる場所がある某Vホテルを捨て、
今回はあえて、昔、料理の鉄人に出た料理長がいる某Sホテルにした。
普段、食事や暖房など生活を少しでも節約する生活をしている。たまには羽を伸ばしたかった。
美味しいものも余り食べていない。本格的に就職活動する前に、十分なリフレッシュをしたかった。
残念ながら、選んだホテルには、無料送迎バスはなかった。
普通の路面バスであるじょうてつバスに乗って温泉街に向かう。シートも当然普通のバスと同じ。
約80分バスに乗り、目的のホテルに着く。シートが狭かったので、かなり疲れた・・・。
着いたのはかなり遅かった。自分はひとっ風呂浴びるより、定山渓の温泉街を散策する事を選んだ。

定山渓といえば、河童が有名である。
ただ、想像していたより河童をイメージしたものは少なかった。
各地に立つ河童の標識(河童の頭と番号が描かれたもの。下図参照)は確かに沢山あった。
河童の標識

しかし、「河童だ!」と胸を張っていえるものは少ない。
温泉街に向かう橋にあった河童の像と、かっぱ大王位(下図参照)だと思う。
かっぱ大王

散策して内に面白いものを発見した。
かっぱ大王がある二見公園から、二見吊り橋を渡って歩く、定山渓散策路である。
本来は、5月までは通行止めであれば、雪道を強行突破すれば、歩いていけそうだと分かる。
以前、行った登別の大湯沼まで歩いたのと同じ感覚である。
この年になっても、「誰も行かないなら自分が行く!?」妙な探求心というか好奇心がある。
しかし、温泉に着いたのが遅すぎた。帰り道、真っ暗闇になる事が目に見えていた。
泣々?断念する。記念に写真(下図参照)だけ撮って、温泉に帰還する。
二見吊り橋

このように、いい年をした大人とは思えない(爆)行動をして、定山渓の温泉街を散策が完了したが、
分かった事がある。温泉以外に男女が行くようなスポットは皆無だという事である。
以前、鈴井の巣N・u・K・Iで、定山渓のデートスポットとして、秘宝館と岩戸観音を紹介していたが、
それ以外に観光スポットと呼べる建物はないから仕方なく?紹介していた事が分かった。
土産屋も他のと比べるとかなり小規模だし、ちょっと温泉に入りたい時、来るべき場所だと思った。

腹ごなし?も完了し、楽しみにしていた食事を食べる。確かに美味かった。
大根とユズのデザートがなんともいえない味を出していた。ただ、石狩鍋の残りで作った雑炊を
美味さの余り、4杯(爆)食べてしまい、その後苦しむ事になった・・・。
(彼女が夜中ラーメンを食べたいといって、ラーメンを食べにいったが、腹一杯で生き地獄を経験。)
温泉に入り、サッカー日本対ポーランド戦を見届けてから寝るが、部屋は以上に暑かった。
窓を開けて、ちょうど良い温度しても、10分もしない内に蒸し風呂状態になる・・・。
お陰で睡眠時間が推定1時間半。朝風呂開始の時間に余裕で間に合う。
朝風呂=眠気覚ましになる。朝飯も美味かったし、この事さえなければ、良い休養になったのだが・・・。
(帰りのバスで座れなくて自分だけ80分間立ちぱなっしというオチはあるが、それはまた別・・・。)

温泉で幕を閉じた3月。そして、迎えた4月。新しい季節。
インターネット常時接続環境もめでたく復活した。
心身ともリフレッシュした状態で、仕事探しを本格的に開始するが、求人票や雑誌を見る度、
仕事探しの難しさを痛感することになる。


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