休職日記

【 税金徴収時の衝撃 】

4月の上旬、まだ雪が残る札幌に一通の封書が届けられた。
差出人は、会社だった。嫌な予感がした。
『給与繰上金』つまり税金の徴収依頼である。
既に思考が死んている頭で休職の際の説明で、休職中も税金や健康保険料などを
払ってもらうことと言っていた気がする。(記憶力0)
すっかり遊ぶ惚けていた。プレッシャーのない札幌での生活を満喫していた私には
縁のない世界のはずだった。
封書を開ける時、久々に訪れたプレッシャーの掛かる瞬間だった。
所詮、うちの会社のすることだ。人に無用なプレッシャーを与える文書を添付して
人を苦しめる気かもしれない・・・。

『!!!。』絶句。
『高い!!』
現実は厳しかった。
残業なしで働いた時の給料より遥かに高かった。失笑する以外なかった。
請求額「131,914円」であった。
ちなみに税金を引かれて残業なしだと、今の手取りは、約11万円。
(寮費、健康保険料も天引きされているので手取りは安い。)
予想より5万円近くも高かった・・・。
私が休職した時期に会社を辞めた某友人。
昔、父親が突然会社を喧嘩してやめた時に税金の請求額を見て驚いた母親。
今なら分かる。税金は高い。国家や自治体の無能さに呆れるしかない。
毎月、これだけ取られたらあっさり貯金がなくなり借金生活に突入する。
嫌な考えが頭を巡る。不安が心に過る。
精神的苦痛だけではなく、金銭的苦痛まで与え、人を迫害するか?
そう思わずにはいられなかった。

在職中と違い、今に親元で暮らしているので、食費は友人と食べに行く
以外かからない。もちろん家庭で3食在りつくことができる。
クリーニングなどの生活必要経費も一切掛からない。
お金は全て交遊のために使えた。
だからといって、派手にお金を使って遊んでいた訳ではない。
慎ましいが地獄だった在職中の生活みると天国だった。

そんな気分を壊し、不当に高い税金を吹っかけ気分を鬱にしてくれる。
さすが我会社。人の気分を害することに関しては長けている。(笑)
何故?予想より5万円近くも高かったのか?
納得できなかった私は、同封されていた給与明細を見た。
まず、控除項目を見た。
ほぼ、何時も通りだった。ここに不当に高い金額は記載されていない。
既に休職していた時の給料なので、何故か?雇用保険料が
マイナスになっていた。(笑)
次に支給項目を見てみた。
犯人はこいつだった。
深夜手当等:−10,168円
不就業控除額:−39,041円
支給項目がマイナスの給与明細を初めて見た。(笑)
復職して、9月の給料が定額支給されて初めて意味は理解したが、
当時は意味がまったく理解できなかった。
給料をもらっていない私が会社に金を払わなくてはならないか?(怒)
何故死人に鞭を打つマネをするのか?
理由を書いた紙を1枚添付してくれれば、気持ちの整理が着くのに、
マニュアル化された作業者に相手の気持ちを考えることはできない。
所詮、ミスが多い無能なコンピュータある。
納得できなければ、連絡をくれと連絡先を書いてあっても、
電話する元気のない相手には無効である。
マニュアル化のデメリットを考えたことのない証拠である。
たった一言の重要性を分かっているのだろうか?

ふと思う。うちの会社は残業月50Hが暗黙のノルマの会社である。
だから、基本給は安いし、昇給率も低い。
しかも大卒以外には非常に冷たい会社だ。
大卒者以外から「同じ時間働いたのに10万円以上給料が違うのは、
納得いかない。」など納得している話を聞いたことはない。
最も大半の人が大卒だからそんな不満が蓄積していることは知る由もないが・・・。
望みは薄いが、景気が良くなれば、有能な大卒者以外の人は逃げてことは必死だ。

現実、夜10時が定時で終電が当たり前という非効率な
仕事をするのが当たり前の会社。しかも土曜日はデフォルト出勤。
働いている人間もだらだら働いて金を稼いでいるのも知っている。
無駄に働くのが嫌いな私にとって、絶えがたいものがある。
こうしないと、彼らも必要な生活費を稼ぐことが出来ないのだ。
私がこの職場に戻る気があるのは奇跡に近かった。
でも、心に誓っていることがある。
『こんな生活が再現するなら会社から逃げる。』

税金の話に戻す。
所詮、一介のサラリーマンに過ぎない私には、抵抗する手段がなかった。
今の精神状態では戦う気力がない。全面降伏するしかなかった。
無視しても、税務署から追徴金の依頼が1枚来るだけである。
結局、納得しないまま涙を流し(嘘)つつ、期日までに全額指定の口座に
振り込んだ。
ちなみに、翌月から休職前に予想した金額とほぼ同じ額の請求になった。
それでも、振り込んだ後の口座の残金を見て寂しさを覚えるのは変わらなかった。

ある時期、貯金がだんだんと底がつき始めた。
アルバイトをしようかと真剣に考えたことがある。
しかし、気力が復活していなかったし、会社にバレルと非常にヤバイので、
実現はできなかった。
でも、世の中にはそんな私を助けてくれる心優しい制度があった。
その制度が無ければ、金銭的な理由で多分会社に復職していなかったと思う。


Return