休職日記

【 不眠の恐怖 】

2回目の通院直前だった。
88エミュの作業が一段落した頃、それは現実となって襲ってきた。
『眠れない。』
部屋を真っ暗にし、目を閉じて1〜2時間待っても逆に目が覚める。
緊張感のある生活から離れ、精神的にリラックス(だらけ)したせいなのだろうか?
88エミュの作業に夢中になっていた反動だろうか?
今の自分にはわからなかった。
休職してこの時点で、約3週間の時が過ぎていた。
あれほどあった朝に感じた胸の痛みも今は、ごく稀にしか感じない。
きっとプレッシャーから解放されたからだと思う。
新しい問題の発生だった。

1日なら仕事をしている間も経験した事がある。
しかし、今日で4日目。未経験の領域である。
0時〜2時の間に眠れなくなり、昼夜の生活が逆転しそうな最悪の状態になった。
当然、体の疲労も徐々に蓄積していく。
危険を察知していた。このままではまずい!!

そして迎えた2回目の通院の日。
今年の札幌の雪解けは遅い。聞けば例年よりやはり遅いらしい。
雪解け道を歩き病院に向かう。

2回目となれば、精神科に対する緊張感はほとんどない。
前回の受診で、医師のレベルを図ったが、まともそうな人だったので、
安心していた。これが緊張感を解してくれた。
(これが、今の総合病院の医師だったら多分やばいことに・・・)

軽いうつ病だったので、重い薬を使用する訳でもなく、ましてや入院する訳ではない。
とにかく仕事のことを忘れてリラックスすることが治療である。
それでも胸の痛みが無くならなければ、別のことを真剣に考えないといけないが、
幸い今のところ良い方向に事態は推移している。
ただ、人と話をすると必要以上に疲れるし、胸の痛みが完全に無くなったわけではない。
体に対する不安は、正直言ってある。
そこに、不眠への不安が加わろうとしていた。

精神科で行う治療は、主にカウンセリングである。
人を責めるような口調でストレスを与えることはない。
(私は良い精神科の医師は、相手に不快感やレベルの低さを感じさせない医師だと思っている。)
前回の受診からどんな感じで、過ごしていたか?
胸の痛みはどうなのか?
生活のリズムは守れているか?など。
基本的には、他愛のない雑談である。

医師に、不眠気味であることを話した。
考えて見ると、昔からプレッシャーが掛かった時に眠れないことはあった。
いい機会だと考えていた。

訴えは認められた。
この日から精神安定剤と軽い睡眠薬(噂の「ハルシオン」ではない(爆))を
使用することになった。
最後に、引続き生活のリズムを守り、毎日5分でもいいから出かけ、
引篭もりにならないようにすること、そして、趣味を持つようアドバイス
を受け、
今回の受診は終了した。
次回から、毎週水曜日受診ということになった。

その後、薬局で睡眠薬を調合(厳密には既存のものだが)してもらい、帰宅した。
そして、あっという間に夜がやってきた。
さっそく睡眠薬を服用する。
さすがに直ぐには眠気が来ない。睡眠導入剤に近い代物なので、当然だと思う。
そして、1時間後位に突然、強烈な眠気に襲われ耐え切れず寝てしまった。
しかし、翌日の朝の目覚めは最悪だった。
何故か頭痛がする。その日体調不良のまま過ごす。
結局、その後3日位恐くて睡眠薬を使うことが出来なかった・・・。
(単に疲労と重なっただけというのが、後で分かった真相だが・・・)

今から考えてみると、これはほんの序章に過ぎなかった・・・。
その後、襲った真の不眠の恐怖に比べると・・・。


Return