休職日記

【 火山活動 】

精神科に通院を開始し、こっちの生活にも慣れてきたとある日、友人が心配して
温泉に誘ってくれた。
考えてみた。この前温泉にいつだったか?
記憶がない。旅館の大浴場とかは記憶にあるが・・・。多分、修学旅行で行った時以来だと思う。
とりあいず、場所を決めることにした。
登別、洞爺、大雪山のいずれか1つ。
自分の中では、北海道の温泉は登別だった。
よく登別の温泉に行ってゆっくりくつろいできた話を聞いていたので、
無意識のうちに洗脳されていたのかも知れない。
結果、登別ということになった。
後は、友人にまかした。温泉の達人だから・・・。

翌日、ニュースを見た。
『有珠山で火山活動が活発になり噴火の可能性が高まる。』
何?登別は大丈夫か?
すっかり北海道の地理に疎くなってしまった私は、友人に電話した。
 私:いきなり有珠山で活動が開始したけど大丈夫?
 A:洞爺ならやばいけど、登別なら距離もあるし大丈夫。
 私:しまった!!洞爺にしておけば噴火が見れたかも知れない。(^^;
そうか大丈夫か。よかった。温泉計画続行。

しかし、その後も火山活動は収まらず、TVではいろいろな火山研究家が出てきて
勝手なことを話していた。
その中で光ったのは、第2の岡ちゃんこと北大の岡田博士。
(ちなみに第1の岡ちゃんは、J1コンサドーレ札幌監督の岡田監督)
『近日中に必ず噴火する』と言い切り避難の必要性を行政に訴え、本当に避難させたのだから
凄い人だと思った。(その後の三宅島の噴火活動では嘘ばっかり火山研究家は言っていたことを
考えるとますます価値UP)

出発の日がやってきた。3月31日。最も噴火の確率が高い日だった。
TVでは、今日にも有珠山噴火かとやっているし・・・。
とりあいず、地下街の小鳥の前で待ち合わせ、昼飯を食べ、無料送迎バス乗り場に向かった。
バスの待合室を見る。結構このバスで温泉に向かう人が多い。
恐るべし札幌市民、こんな日でも温泉に向かう。
(私も人のことは言えないが札幌市民ではない。)

そして、出発。いきなりの車内のテレビがついた。NHKのニュースだ。
煙を上げている。噴火だ!!!。
噴火時刻を知る。確か午後1時ちょっと過ぎだった。
バスの発車した時刻と同じじゃないか!!
バスの中が騒然となった。
登別へ向かう途中の高速道路では、自衛隊や警察の車が有珠山周辺に向かって
慌しく走っている。

そして登別に着いた。
辺りに火山灰が降った形跡はない。風向が違った。
とりあいず、部屋に行ってまずちょっと休憩。
当然TVは付ける。火山情報は気になる。

そして出かける。
久々に地獄谷。確か小学校の修学旅行以来だ。相変わらず硫黄臭い(笑)。
まだ雪の残り季節のせいか煙の上がりは少ないらしい。
《 雪の残る地獄谷 》
雪の残る地獄谷

とりあいず、端から端まで見学する。
ここは、他にも見学者がある。定番だし・・・。

普通の人間は、ここで旅館に戻り休憩する。
しかし、私は違う。友人に尋ねる。
『他に見学出来る場所はない?』
『雪が無ければ車で大湯沼だけど・・・』と友人は答えた。
近くの標識を標識を見た。ここから約1km。しかし車両止めがしてある。
当然である。こんな季節に見学する人はいない。
とりあいず、近くの施設の人に聞いてみた。大湯沼まで行けるのか?
どうやら、OKらしい。
決定。車両止めを抜け、雪の残る山道を歩き始めた。
さすがに誰もいない。車の通った後もほとんどない。
ひたすら歩く。思ったより遠い・・・。足もちょっと痛い。
本当に人の気配がない。そういえばここは登別。登別と行ったらクマ牧場。
『熊が出たらどうしよう?』としょうもない考えを抱き歩き続ける。
ちょっと後悔し始めた頃。ようやく大湯沼に着いた。

当然だが、店はやっていないし、駐車場に車なんてない。
沼から湯気が昇っている。
とりあいず、休憩する。
こんな季節に来る阿呆は、多分私だけだ!!ヽ( ´ー`)ノ
《 証拠写真 》
証拠写真

そして帰る。途中斜面から怪しげなじいさんが出てきてちょっとびっくりしたが、
無事戻る。水曜どうでしょうみたいなことをやってしまった。

さすがに疲れ休憩。その後は普通に温泉に入り疲れを癒す。
しかし、オチはあった。
夜中の3時頃地面が揺れた。地震だ!!
眼が覚めた。
しまった。地震は頻発していた。

結局、よく眠れないまま朝が来た。
そして帰った。
温泉に行った日に噴火した。
これは多分一生忘れないと思う。
(この後、寮に帰る直前に三宅島で噴火活動が始まることになるとは予想できなかった・・・)

【 余談:噴火による生活への影響 】

札幌には、直接火山灰が降ってきたり、地震が起きることはなかった。
しかし、影響はあった。交通網が寸断されたことで、物資の入荷が更に遅くなった。
特に雑誌系は航空便を使用していない週刊誌などは、2〜3日は遅れた。
個人的に一番問題だったのは、函館に旅行しようと思ったが、有珠山周辺の鉄道が
運休したため、迂回して向かう(小樽経由)ため、片道5時間も掛かるように
なったこと(片道1時間以上のロス)がわかり、旅行する気が失せたことだった。
実際に起こった問題は、観光客が減ったこと。
旅行者には知識が無いから北海道は有珠山が噴火して危険と思い、
安全な地域の旅行までキャンセルしたと思う。


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