休職日記

【 初めての精神科への通院 】

幸いなことに親が医者だった。
会社は、この手の病気に知識がないから総合病院を勧めていたが、下手な医者に掛かったら、
冗談抜きで2度と社会復帰はおろか精神が破壊されてしまう危機感のあった私にとって
絶対飲めない条件だった。無視決定。

3月16日、父親の勤務先の病院長から精神科を紹介してもらった。
親が元勤めていた医大病院の先生らしい。
とりあいず、電話帳で紹介された病院を調べてみる。
あった。XXクリニック。(名称は出して良いか判断できないため割愛)
院長の名前もあっている。ここだと思い電話する。
掛ける前正直緊張した。緊張の解けない内に受付嬢が出た。
さっそく予約したい趣旨を伝える。でも何を会話したかよく覚えていない。
『3月22日 9:40に来て下さい。』ということを除いて・・・。
一週間待ち。2〜3日位で予約が取れると思っていた私に取って非常に長い待ち時間だった。
(ちなみにその後、寮に戻って別のクリニックを予約しようとしたら2ヶ月待ちという
ふざけた回答が帰ってきた。人気のあるところはコネ以外だめらしい。)

約1週間部屋に籠っても精神的にますます落込みそうだったので、とりあいず友人に
かたっぱしから電話する。
幸い?平日休みな人が多かったので翌日から連続して遊ぶ。
友人からは、『本当に病気か?』と言われる。
それはそうだ!!別に気が触れて暴れている訳ではないし、内臓が痛むが肉体的に異常が
ある訳ではない。顔色もよい。いつも通り遊ぶことも会話もできる。
しかし、体の調子がやはりおかしい。直ぐ精神的な疲れがくる。
いつもの疲れが出るより、4時間も早い・・・。

結局、土曜日辺りから疲れて部屋でぼーっと過ごす。
その間、金曜日に届いた寮から運んできた遊び道具(ディスクトップパソコン、ノートパソコン、
DC、ステレオ、暇潰しにちょっと前に揃えたラブひななど・・・。(爆))と
勉強道具(プログラミング系の本など真面目なもの)を昔自分が使っていた部屋に展開する。
音楽を聴いたり、パソコンの整備(いずれも休職直前に購入(爆))やらであっという間に時が過ぎた。
世間では、3連休だった。会社にいる時なら嬉しかったかも知れないが、休職して毎日休日な私に
とって意味は無かった。

札幌に戻ってきて、約1週間。今まで一人暮らしだったから好きなものを好きなだけ
食べることが出来た。
(というか食事に金を掛ける以外、時間が無い状態だった。)
実家に帰ると確実に3食に在りつくできるが、普段食べることが少ない和食中心。
慣れないせいか腹が空く。夜の11時には腹の虫が鳴り出す。
仕方がない。コンビニでも行くか!!とコンビニに向かう。
しかし、ここは札幌。季節は3月。まだ雪解け前。しかも今年は雪が多いらしい。
自転車は使えない。学生の頃は、金が無かったから冬でも平気で自転車に乗れたが、
もうさすがに冬道を乗ることはできない。
寮にいた時は、歩いて5分以内にコンビニがあった。雪もなかった。
さすが北海道。夜道は寒い。家から一番近いコンビニは、歩いて10分位のところにある。
とりあいず、ツマミを買って戻る。トータル30分掛かる。それも毎日・・・。
現時点では収入がないので、少ない貯金が削られていく・・・。
ふと思う。食生活も1日暮らしでめちゃくちゃだったんだと・・・。
ストレスから物を食べるいたのだと・・・。
予算の都合からも、まずは和食中心の生活に慣れて必要経費を削らねばと思った。

3月22日。初めての精神科に通院する日が来た。
不安と緊張。精神科のイメージと言えば、気の触れた人間が一杯いそうで怖いイメージがある。
結局、約束に20分前に着いた。
戸を開けて中に入る。
中は静かだった。癒し系の音楽がながれ、清潔感溢れる部屋。自由に飲めるように置いてあるお茶。
新聞、週刊誌から漫画、精神病に関する本もある。
完全予約制の個人クリニックだからだろうか?他の患者は1人しかいない。
正直言ってイメージと違った。
気の触れた人間がいるものと思っていた。
でも考えてみれば、日本人の5%は、軽い鬱に掛かっている訳で、ここに来る人は
皆、同じ思いをしているはずだと・・・。
ちょっと緊張が解れた。
気がつけば、約束の時間になっていた。

遂に院長さんとご対面。
まだ40歳。若かった?
とりあいず、会社の産業医の方からの紹介状を渡し、今までの経緯を説明した。
なぜここに?と不思議な顔をしていたが、当たり前だと思う。
札幌以外の人間がいきなりここに予告もなしに現れたのだから・・・。
こっちに来てからは、寮に居る時ほど激しい内臓の痛みはなかったが、1日に数回痛みが
出ていることを話した。
とりあいず、『規則正しい睡眠』、『軽い運動』、『家でぼっとしない』、
『人と長く会わない』、『1日1回外出すること』そして『規則正しい生活リズムを守ること』を

注意され、2週間後に通院することに決定した。
そして、暫くの間は、軽い精神安定剤(コンスタン)を飲んで様子を見ることも合わせて決定した。
最後に会社から『傷病手当金』を貰うために必要な診断書を書いてもらい、診察が終了した。

こうして、初めての精神科受診が完了した。
思っていたイメージと違い、他の科を受けるのと変わらなかった。
とりあいずほっとし、書いてもらった診断書をとっとと会社に送るため、急ぎ郵便局へ行き、
診断書を送り帰路に着いた。

次の2週間を迎えるまで、言われたことを守りつつ、まず痛みの発生率を少しずつ下げることを
誓い、日々を送り始めるのあった。
しかし、この2週間の間にいろいろと事件?が起きるのであった。


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