休職日記

【 人が狂うという感覚 】

GW(ゴールデンウィーク)。
仕事をしていれば、最も長く会社という窮屈な組織から離れられる。
1年で最も嬉しい季節。
盆や正月に比べ、札幌に帰省するための飛行機料金も掛からない。
(それでもかなり高いが・・・(怒)。)
暑くもなく寒くもない過し易い季節。
こっちと比べると花粉症に遥かになり難い。
2度目の花見も出来る。
(出店は、暴力団関係のものを締め出したため、
昔に比べると半分以下になったが・・・。)
それが、札幌の5月初旬という季節である。
この季節が私の最も好きな季節である。

しかし、今年は状況が今までと大きく異なる。
生まれて初めて休職している。仕事は当然していない。
普段、会うことの出来ない人達と会う機会が出来た。
精神的にストレスが掛かることも少ない。
自分の好きな事が出来る時間が無限にある。
会社に居た時には、有得ないことだった。
そんな生活が永遠に続くことを夢見るようになっていた。
そんな環境が知らぬ間に心に油断を生み出していた・・・。

考えてみれば、休職予定はGW空け位までだった。
休職当時は、直ぐ復職するつもりだった。
GW期間中、そんなことをふと思い出す。
今思えば、思い出さなかった方が幸せだったと思う。
会社の中で常にベスト3に入る辛いプロジェクトを回る日々・・・。
思い出すだけで、激しいストレスが自分の身に降りかかる。
(根本に今の会社の体質が嫌いということがあるが・・・。)
それが、気分を憂鬱にする。
表情を暗くにするには、会社のやな記憶を思い出せば良い。
それだけで十分過ぎるほど暗くなれる。(^^;

GWも終わる頃、普段会えない友人にGW期間中に会うことを
遠慮してしまったこと。
今の生活が崩壊する時が迫る恐怖。
精神科の医師から言われていたことを守らなくなりつつある生活。
部屋に引篭り気味になり、ぼ〜と考える時間が増えてしまったこと。
いつしか不眠気味になり、寝る時間起きる時間が乱れていった・・・。

そんなある時、突然無重力空間に引き込まれた感覚に陥る。
時が止まった気がした。テレビのワンシーンのような感覚だった。
胎児のような気持ちの良さだけが記憶の中に鮮明に残る。
生返事で、廃人のような生活を自分が精神から見えた気がした。
(実際、廃人のようだったらしい(母親談))
今考えると、非常に恐い。
思考という概念すら無い世界に居た。
しかし、今まで生きてきた中で感じたことがないほど心地良かった。
そんな世界に居れば、どんなことでもやれる。
平気で人を刺すことも出来る・・・。
今まで何故?と思っていた精神異常者の心理を合間見た気がした。
善悪とか道徳とか人の世界を生きる上で必要なものを必要としない。
精神と肉体が分離した状態で気持ちの良い世界・・・。
幸い私には、そういった攻撃性はなかったので良かったが、
その精神状態で会社に居たら?嫌いな上司と仕事をしていたら・・・。
多分、何の感情を持たず刺し殺す可能性が高い。そんな危険な精神状態だった。
人としての感情が無いのだから、罪の意識すら持てないと思う。
それどころか何をしたかさえ覚えていないのは間違いないのだから・・・。

気がつけば、3日の時が過ぎていた。
何がきっかけで現実の世界に戻って来たのか?正直記憶がない・・・。
その後、この事が原因で生活のリズムを崩すのが恐くなり、生活のリズムを
守ることを今でも大切にしている。
その後、上記現象は発生していないが、油断すればもう一度再現する可能性はある。
だから、仕事がどんな状況でも生活のリズムを優先する日々が続いている・・・。

とりあいず、この出来事を精神科の先生に相談し、今のままでは、会社に戻れないと思い、
一ヶ月復職を延ばしてもらうことを提案し、了承してもらった。
精神科の医師の話を伝え、会社にも復職を1ヶ月先に延ばしてもらった。
しかし、この1ヶ月で今までの生活崩壊の恐怖。
そして、会社に戻るプレッシャーに打ち勝たなければならない・・・。

新しい見えない敵と戦う日々が始まった。


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