気まぐれ

【 コンピュータを信じる?〜サクソン事件考察〜 】

大分、昔に起きた「サクソジン」と「サクシン」の取違い事件についてです。
副腎ホルモン剤「サクソジン」と毒薬指定の筋力弛緩材「サクシン」を取り違えるという
医師として、考えられない事件がありました。
ここに、情報化社会が抱える他の業界でも起き得る問題点を垣間見ることが出来ます。

間違えた原因は、医師が誤って、「サクシン」をクリックしてしまったかららしいのですが、
何故?医師は初歩的な事に気が付かなかったのでしょうか?
そこのシステムの詳しい事は分からないため、何とも言えませんが・・・。
例えば、劇薬であれば、赤色で表示して、確認のメッセージボックスを出す
システムであれば、医師であれば気がつくはずなので、事故を防げた気がします。
システムを作る側は、プログラム・基本的なシステム設計に関して知識はあっても
業務に特化したノウハウはその仕事の専門部門がある場合を除きありません。
今回の場合、「サクシン」が劇薬である事を知って、システム設計を考えている可能性は
限りなく0%に近いですし、ましてや末端のプログラマーが知っている訳がありません。
作る側は、過酷な労働から逃れる為に、ただ早く終わらせて逃げる事だけ考えて、
仕事するため、ユーザーの立場に立った良いUIを提言する事はまず有得ません。
事故が起こるのは、UIにうっかりミス?を防ぐ機構が設計から漏れているからだと私は思っています。

コンピュータが出した答え(この場合だと薬)は、絶対に正しいという概念が人にあります。
これは、コンピュータを知らない世代(やはり年配の方々)ほど強いです。
人が書いたものであれば、万が一の間違いを疑うので、念入りにチェックします。
しかし、コンピュータが出したものに対しては、人が書いたものに比べて、無意識の内に
チェックがおろそかになってしまいます。
その結果、今回のような医師の世界では考えられない(親談)事故が起きてしまった気がします。
システムをコンピュータ化する事で作業は確かに楽になります。
しかし、最後の決定の責任は、人間にあります。
この事は、他の業界でも当てはまる事です。
「コンピュータを過信してはいけない。」この事は、今後肝に銘じて仕事したいと思います。
何故なら、コンピュータは確かに同じ事をすれば、永遠に同じ答えを返します。
しかし、そのコンピュータのソフト部分を作るのも、データを作るのも人間です。
そこで人間が間違えれば、コンピュータは永遠に間違った答えを返し続けるのだから・・・。
それでも、あなたはコンピュータが出す答えが常に正しいと考えますか?


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